左:取締役 通販プロデュース部 加藤克彦 氏
中:通販プロデュース部 東 瑞樹 氏
右:通販プロデュース部 部長 榎津潤也 氏

もしも、テレビやラジオでこれから出稿予定の広告効果をあらかじめ正確に予測できるとしたら、あなたはどうするだろう?

ROI の計測やターゲティングが容易になったインターネット広告の出現以降、企業の宣伝部門は、それ以外のメディアにおける広告出稿においても、そのアカウンタビリティを求められる傾向がますます強まっている。マスメディア全盛の頃は、情報発信の手段が限られ、またターゲティングを最適化する手法もなかったため、広告の役割は「広く知らしめる」ことであり、またそれ自体を目的に予算が通る時代であった。しかし、広く発信せずとも、対象となるターゲットセグメントに、効率的に広告を届けられるようになった今、その投資効果が如何ほどであったのかという説明が求められるのは当然で、逆に、その効果を説明できないメディアへの投資は “賭け” でしかなくなる。

そんな中、事業プロデュース集団のグランドビジョンが今年の2月に提供開始を発表した、広告の効果をあらかじめ予測する未来レポート「GAMレポート(Grandvision AI Marketing レポート)」は、もしかすると、そういった広報担当者の悩みを払拭してくれる武器となるかもしれない。

GAM レポートの実力と、同サービスが生まれた背景について話を聞いた。

広告代理店+コールセンターというユニークな事業展開

「真のパートナー企業になる」ことを企業理念に掲げるグランドビジョンは、「広告代理店」という機能を持ちながらも、「クライアント様の課題に対して最適なソリューションを提供するためには、自身の事業領域を拡大・横断する事を厭わない事業プロデュース集団」であると、同社通販プロデュース部の加藤氏は言う。グランドビジョンの強みは、クライアントから「なにか新しい商品を売り出したい」という相談があれば「お客様の本質的な課題を解決できるよう、企業のブランディング、CI、BI、クリエイティブ制作、メディアプランニングまでをワンストップで提供する」点にあるという。その意思が顕著に表れているのは、前述の広告の制作・メディアプランニング機能に加えて、広告配信によるエンドユーザーのレスポンスをダイレクトに受け止める「コールセンター事業」を、社内に抱えていることだろう。

特に、同社が手がける「通販プロデュース」という領域においては、広告の反応をダイレクトに受け取ることができるコールセンターの存在は、消費者の声を集め、その後の広告効果を高める PDCA サイクルを回す上でも非常に強力な武器となっている。

広告枠の効果予測は職人芸。育成には数年の経験が必要。

そのようにして、クライアントの課題解決を第一に、これまで事業領域を拡大・多角化してきた同社だが、綿密な協議を重ね企画・制作した広告を、どの枠に投じるかの意思決定においては「最終的に担当者の経験則に委ねるしかない状況だった(榎津氏)」という。

これまでの実績データは社内に豊富に蓄えられているものの、全国には大小含めて700以上のテレビ局があり、各放送局がそれぞれに広告枠を持っているのだから、プランナーが検討対象とする枠は、かるく見積もっても数千にのぼる。10年以上の経験を積んだ熟練のプランナーであれば、その膨大な選択肢の中から大きな投資対効果が見込めるいくつかの広告枠をうまく選定することができるが、それでも「アテが外れることはあり、"提案どおりの結果"ではない事に不満を露わにするクライアントも少なくなかった(榎津氏)」という。

そのようなプランナーは、育成自体に時間がかかる上、10年以上の豊富な経験を持つプランナーでさえ必ずしも精確に効果を予測できるわけではない。なにより特に課題だと考えられていたのは、最終的な判断がプランナーの勘や経験などの暗黙知に委ねられてしまうため、結果を振り返っても、外からの視点では改善案を探りようがなかった点だ。

機械学習に出会い、95% を超える精度を得る。

「精度の高い効果予測ができるに越したことはないが、逆に言うと、精度の高い結果が得られさえすれば、それは人間がやらなくても良いのではないかと考えていた」という加藤氏は、専門知識不要で機械学習を用いたデータ解析を可能にするクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS」の社内導入を決定した張本人だ。前述の通り、属人化していた広告効果の予測プロセスを置き換える手段を模索していた折に、同サービスに出会い、すぐさま社内でトライアルをはじめたという。

実際に、MAGELLAN BLOCKS を使った PoC を担当した通販プロデュース部の東氏は「当然、機械学習に関する専門知識もなく、プログラミングのプの字も知らないような状態だったので、使い始めはデータの登録など思うように進まない場面もあった」という。それでもトライアルをはじめて1ヶ月弱、知識もノウハウもゼロベースから出発し、様々な予測因子を組み合わせて学習させるトライアンドエラーを繰り返すことで、ついには 95% を超える精度にまで漕ぎ着けた。

この結果は、広告枠に関するデータだけでなく、同社が、その広告を見たエンドユーザーの声をダイレクトに集めるコールセンターの実績データを資産として持っていたことが、その精度向上に大きく貢献したと言えるだろう。

未来を予測する「GAMレポート」の誕生。

予想を大きく上回る高い精度を獲得することに成功した同社は、それを社内のノウハウとして留めず、同様の課題を抱えるクライアントに向けて広く提供できるよう、自社サービス「GAMレポート(Grandvision AI Marketing レポート)」として、2018年2月24日よりリリース。データの解析・予測を行う機械学習エンジンとして MAGELLAN BLOCKS をコアに据え、それぞれのクライアントや商材にあわせて学習モデルを最適化していくプロセスをグランドビジョンが担う。人手をかけた予測では 80% 程度だった精度が、前述の通り 95% を超えるような結果が得られるケースも出てきているという。

実際に GAM レポートを利用しているユーザーからの反応として、精度の高い予測結果が喜ばれるのはもちろん、仮に外れた場合でも、従来ブラックボックス化されていた予測プロセスがオープンになったことで、どういった因子を組み合わせるとより良い結果が得られるようになるか、クライアントとグランドビジョンとが建設的に会話できるようになった点が非常に大きいという。

また、グランドビジョン自身としても、予測精度が高まった事で、コールセンターの人員配置を最適化できるなど、自社サービスの恩恵にあずかっている。

現状は、自社が得意とするダイレクトマーケティング領域での展開がメインとなっているが、反響は大きく、今後サービスを多角化していくのが楽しみだと加藤氏は話す。

「精度や正確性、効率が求められるような領域はコンピュータや AI にまかせて、人でしかできないようなクリエイティブな領域に、よりフォーカスできるようにしたい」との言葉で加藤氏はインタビューを締めくくった。広告効果が読めず、出稿を前に足踏みしている宣伝部門の担当の方々には、ぜひ一度、その目でGAMレポートの実力を確かめていただきたい。