左:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 経営企画部 副部長 プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト 吉高まり氏
右:株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長 最首英裕

人類の経済活動に起因する気候変動が加速しています。地球温暖化をもたらす大きな要因に数えられる二酸化炭素(CO2)排出量をいかに削減するか。立場の異なる先進国と新興国の間でさまざまな議論や綱引きが進むなか、金融や投資の世界では環境や社会に貢献する企業を評価しようという動きが加速しています。今回、ご紹介する吉高まり氏は、1992年の黎明期から環境金融に関心を抱き、2000年に国内で排出権取引ビジネスを立ち上げた草分け的存在。しかも、グルーヴノーツ代表、最首英裕とは、ともに社会人としての第一歩を印した企業の同期同士という間柄。環境投資のスペシャリストに至る経緯を皮切りに、環境と社会の関係や仕事に対する信念について、ざっくばらんに語り合いました。

IT企業の一般事務職から環境金融の専門家へ

最首 僕も吉高も社会人になって最初に入った会社が一緒。同期は割と仲が良くて、いまでもみんなで集まるよね。

吉高 そうね。ただ、同期会でお互いの仕事の話はほとんどしないよね(笑)。

最首 そう。吉高は、環境金融のスペシャリストとしてテレビに出演したり講演したりと、話題の人になっているよね。どういうキャリアを歩んできたのかと、ずっと疑問でもあったんだよ。実際どうなの?

吉高 私たちが社会に出た年は、男女雇用機会均等法が施行される前の年だった。4大卒女性は事務職採用が当たり前な時代ね。だから、最首くんと同じ新卒入社した会社では、事務職としてお茶くみとファイル整理が私の主な仕事だった。ただ、会社の経営方針が転換し始めたとき、そのまま事務職を続けるという選択肢よりも、外資系投資銀行への転職の道を選んだの。

ESG/SDGs経営、サステナビリティの専門家 吉高まり氏・グルーヴノーツ 最首との対談
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 経営企画部 副部長
プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジスト 吉高まり

【プロフィール】IT企業、米国投資銀行等で勤務。ミシガン大学環境・サステナビリティ大学院(当時:自然資源環境大学院)修了。2000年、三菱UFJモルガン・スタンレー証券(当時:東京三菱証券)入社、クリーン・エネルギー・ファイナンス委員会を立ち上げ、環境金融コンサルティング業務に従事。2009年から慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科講師(非常勤)を務める。2020年5月、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに入社。環境金融やESG投資コンサルティングの傍ら、講演やメディア出演、執筆活動を通じて、気候変動や持続可能な経済活動に関する提言を行っている。

最首 そうだよね。

吉高 当時はいまほど転職が当たり前の時代ではなかったから、外資系くらいしか行き先がなかったんだよね。そこは社員数10名ほどの日本支社で、秘書兼タイピストのような仕事から始めたんだけど、日本法人の社長が「おもしろそうな仕事があったら異動してもいいよ」と言ってくれて。それでプロフェッショナルに転向にしたの。

最首 へー、それは知らなかった!

吉高 金融知識が十分にあったわけではないし、周りはいわゆるMBA取得者ばかりだったけど、この機会を逃す手はないと。証券保管業務をこなしながら、ブローカー資格も取ったわ。そうしたら、その社長がまた「次はウォールストリートにある本社で働いてみるか?」って。昔から人の役に立つのが好きで、頑張っていた甲斐があってお客様も付いて実績も残していたから、それを認めてくれたのね。それでニューヨークに行くことにしたの。

最首 いつごろのこと?

吉高 環境問題に熱心なビル・クリントンとアル・ゴア政権下の92年。ブラジルのリオデジャネイロで国連環境開発会議(UNCED/地球サミット)が開かれた年だった。

最首 そこから環境方面の道が開けたんだね。

吉高 そうそう。働きながらニューヨーク大学で英語を学び直すことにしたんだけど、入学パンフレットに「Business and Environment」という、ビジネスと環境問題を学ぶ講義があるのを見つけて、私がやりたかったのはこれだ!と。持続可能性を考えたら、補助金頼りではなく、ビジネスとして稼ぎながら環境に向き合うべきだと考えていたし、金融の知識も活かせると思ったのね。それで、昼間は金融の仕事をしながら、夜は英語と環境投資や環境ビジネスの勉強をするという生活をしばらく続けることになったの。

最首 ニューヨークでの生活はどうだった?

吉高 日本にいたころは、やはり当時の風潮として、女性はまるで伴侶のような立ち回りを求められたけど、ニューヨークに行ったら、ちゃんとひとりの独立し責任ある人間として接してもらえて。とっても楽しかったのよ。だから、ニューヨークでの仕事に区切りが付いたとき、キャリアチェンジを考え、ミシガン大学の大学院に進学することにしたの。当時の日本には、環境ビジネスを学べる教育機関がほとんどなかったし、環境学とビジネススクールのジョイントプログラムがあったミシガンは魅力的だった。2年間みっちり学んでようやく日本に帰ってきたというわけ。

最首 日本ではどんな環境ビジネスを目指していたの?

吉高 排出権取引。米国では環境対策として90年代には制度導入され、各国もその動きを見せていて、将来有望だからぜひ日本でもやりたいと。だけど、そう都合良くビジネスの可能性を信じてもらえるわけでもなかった。排出権取引を始められたのは偶然に恵まれた結果ね。

最首 どんな偶然?

吉高 ボランティアである資産運用会社のエコファンドの立ち上げを手伝っていたときに、当時の東京三菱証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)の副社長に出会ったのよ。「これからは、エコファンドよりも排出権取引です」という提案を続けていたら目を向けてくれてね。そうこうして、排出権取引ビジネスの立ち上げを任せてもらえることになって、2000年にその会社に入社したというわけ。

最首 吉高のいう偶然は自ら望んで創り出してきたものであって、時代の変化の兆しをうまく捉えていたんじゃないかな。

吉高 そうね。偶然は、“Chance”ではなく“Opportunity”であって、自分で掴むもの。ただ、それこそ当時は、私を認めてくださった副社長の後ろ盾があったのは良かったけれど、“同好会”扱いされることも多かったから、順風満帆とはほど遠かったわね。

最首 そうだったんだ。風向きが変わったのはいつごろ?

吉高 2007年にNHKの『プロフェッショナル・仕事の流儀』で取り上げてもらったあたりからかな。

最首 もちろん観たよ。「吉高、すごいな」って同期の間で話題になった。

吉高 ありがとう(笑)。そのときしみじみ思った。前例のないビジネスを社内で興すときには、外部からの評価って大事なんだなって。その後も、リーマンショックで排出権市場の先行きが不安視されたりして必ずしも順調じゃなかったけれど、今もこのビジネスに関われているのはありがたいことだと思っている。

ビジネスと環境問題

気候変動に敏感な欧米。翻って日本は?

最首 日本人は「そのへんにゴミを捨ててはいけない」とか「食べ物を粗末にしてはいけない」とか、情緒的でマナーに近いことには敏感だよね。でも、環境と金融、ビジネスを結びつけて考えている人は少なそうな気がする。欧米人たちの口から語られる切迫感とは、ずいぶん距離がある気がするのだけど、なぜだろうね?

吉高 災害に対する感度の高さの違いじゃないかな。日本は、昔から地震や津波、台風や水害をたくさん経験してきているじゃない?だけど、欧米は気候変動が原因とみられる自然災害が頻発し甚大化して、その恐ろしさに気づいたところがある。ノアの箱舟を彷彿させているのではと思う。欧州と米国では少し違うけれど、日本人より危機であると感じているのは確か。災害に対して日本人とは、そこの感覚が少し異なる部分かな。

最首 日本の投資家の人たちは、「SDGsへの取り組みが投資の判断材料になります」と時折言うようになってきたけど、それも海外と日本では温度差がありそうだね。

吉高 米国の投資家と話していると、SDGsの話題は出なくて、気候変動と人権の話は本当によく出てくる。ESG(Environment/環境・Social/社会・Governance/企業統治)投資のなかでも、Eに対する関心の高さはすごく感じる。SDGsは、新興国に対するMDGs(Millennium Development Goals:ミレニアム開発目標、2000年〜2015年)が前身にあって、2015年に全世界に共通する課題/目標として2030年までに達成することとして整理されたものなのね。

一方で、ESG投資はその昔から社会的責任投資(Socially Responsible Investment:SRI)として存在しているもの。歴史を振り返れば、1920年代にキリスト教会の資産運用において聖書の教義に反するギャンブルやたばこ、お酒などに関わる企業への投資を禁止したことから始まってね。それからは戦争で使われる武器の製造・輸出や公害問題、人権問題を軽視するような企業を投資対象から除外するという方法が取られたのよ。株主にとっては損害賠償リスクになるからね。

最首 ネガティブ・スクリーニングなんだね。

吉高 そう。例えば、粉飾決算などの事件から経営管理としてGの評価は行われるのね。ただ、リーマンショックの経験から短期で儲かれば良いという行き過ぎた株主資本主義の反省もあるし、最近だとコロナ禍で短期の業績見通しが出せない会社も増えているでしょ。年金や保険の資産運用のような長期視点の投資において、短期の収益性やリスクだけを見るのではなく、その会社の価値自体をしっかり判断しないといけないと、その必要性が議論され研究されてきたのよ。これがポジティブ・スクリーニングで、環境問題や貧困・格差など社会的問題に対して、責任を果たしインパクトを出そうとする企業の活動を正しく評価しようよと。ネガティブとポジティブの双方の観点で企業を評価する動きが、いまESG投資として増えているのよ。

最首 きっと、そうした世界的な動きと連動していると思うのだけど、いま色々な企業が、自分たちの存在意義を問い直しはじめている気がするけど、どう思う?

吉高 確かに最近よく「パーパス経営」という言葉を聞くよね。ハーバード・ビジネス・レビューでも特集していたし。

最首 レゾンデートルとも言うけど、いずれにしてもいまはコロナ禍で、社会全体で人が集まる意義が問われているわけじゃない?会社も社会のひとつの形態だから、自社の存在意義を改めて考えてみようという動きが増えたとしておかしくはないよね。売上がどうこうだけじゃなくてさ。

吉高 そうね。社会との関係の中で自社を捉えるという意味で言ったら、古くは渋沢栄一や、松下幸之助なんかもそうだろうし、最近の若いスタートアップの経営者を見ていても、彼らに近しいものを感じたりする。自分の儲けのためだけじゃなくて、世界をより良くしたいんだと。気候変動や社会的な格差や分断、コロナ禍というネガティブな出来事がきっかけだったかも知れないけれど、社会の公器たる会社のあり方について考えるのはすごく健全なこと。社会と企業の関係が原点回帰しているのかもね。

最首 戦後、日本を製造業大国に押し上げた松下幸之助や本田宗一郎、盛田昭夫なんかもそうかもしれないけれど、彼らは太平洋戦争で人々が理不尽に殺戮されていくのを目の当たりにした世代。それと同じように、コロナ禍でも大勢の人がウイルスで亡くなっていくし、それ以外にも個人の力ではどうしようもないレベルの課題が山積している。だからこそより深くみんなが考えはじめたんじゃないかと思うんだよね。

吉高 私もそう思う。ただ人間って忘れる生き物だからね。経営者もそう、成功体験だけが残って、そういうことをすぐ忘れちゃう人とそうでない人の格差がますます広がっていくんじゃないかな。

最首 既得権益を抱えて何も変わろうとしない人がいる一方、変わることを恐れず見事に世の中を変えていく人もいる、か。確かにそうかも知れないね。

遠くにあった危機が間近に。転換する価値観

最首 吉高は環境投資とか環境ビジネスで、世界の最前線を見ているよね。これからどんな軸で世界は変わっていくと思う?

気候変動、世界共通の危機、SGDsネイティブ

吉高 やっぱり、気候変動という世界共通の危機に対する価値観じゃないかな。

最首 価値観か。そうだよね。

吉高 世界が迫りくる気候変動の危機に真剣に向き合いだした。慶應義塾大学でもう10年以上も環境ビジネスを教えているけど、日本の若者もそうだし、アジアから来る留学生もそう。SGDsネイティブと言われる世代は、環境や社会に対してとても意識が高いなと思う。いまの若者世代は、私たちのころより所有欲にとらわれることはないけれど、その一方で、社会に関わりたいという意識が明らかに強いし、行動力もある。だからこれからもっと価値観が大きく変わっていくと思うな。いま起こっているのは、トランプ前大統領が守ろうとしていた古い価値観から、グレタ・トゥーンベリさんのような新たな価値観への大転換よね。

最首 価値観ていうとね。この間、ITがいかに大事かという意識が、想像以上に社会に広がっているんだなと思うことがあってさ。

吉高 どんな?

最首 あるラジオ番組に出演したとき、僕たちが取り組むAIや量子コンピュータがテーマだったけど、リスナーからかつてないほどの質問がきたんだって。しかもすごく真面目で的を射た質問ばかりで、思っていた印象と全然違ったんだよね。それで思ったのは、みんな抗いようのない大きな課題を前にして不安を抱えているけれど、いろいろ勉強して、立ち向かう術を探しているのかもなということ。AIや量子コンピュータも期待されているのだなって、つくづく出て良かったなって思ったよ。

吉高 行動経済学では、損害回避といって、人間は近い将来の身近なリスクにはすぐ反応できるけど、先々のリスクには反応しづらいと言うでしょ?でも、これだけ異常気象が増えてくると、気候変動が遠くにあるリスクじゃなくて身近なリスクになっているね。

環境ビジネスは、もともと儲からないと言われてきたのよ。廃棄物処理とか大気汚染、自然保全など、これまで税金で賄っていたもので、市場規模はその範囲内であってそれ以上拡大することはないと。ただ気象変動によって、例えば洪水や干ばつが起こったり規制が強化されたりと、経営にコスト増・利益減をもたらすリスクが現実的な問題になった。自然資源の枯渇や、北極での国家安全保障問題まで、さらにどんなリスクがあるか、逆にどんなビジネスチャンスがあるかもわからない状態よね。国際決済銀行(世界の中央銀行の政策を決める銀行)がブラック・スワンならぬ「グリーン・スワン」と名付けて出しているレポートなんてまさにそう。環境ビジネスには、この気候変動だけじゃなくて、水や生物資源、資源循環、汚染予防の分野があるけれど、未来への危機感や不確かさに対する人々の価値観の変化やITの進化によって、こうした問題を解決するソリューションが生まれ、新たな経済の動きが始まっているのね。メルカリのようなシェアリングエコノミーも環境ビジネスだと思うのよ。

最首 なるほど。国家は、大きな課題を解決するには小さ過ぎるし、生活にまつわる小さな課題を解決するには大き過ぎるんだよね。ここ数年、都市活動から企業課題を見える化しようという「City as a Service(シティ・アズ・ア・サービス)」という取り組みに力を入れているのだけれど、新型コロナウイルスの蔓延を見るにつけ、都市レベルで物事を考えることがすごく重要だなと思うようになったんだよね。

吉高 わかる。気候変動への取り組みも国より自治体のほうが、よほど動きが速いからね。それは米国も日本も同じ。地方自治体は住民がトップを決められるし、知事にはそれなりに大きな権限も与えられている。住民の事情もわかっているからきめ細やかに対応しようと思えばできるからね。

最首 それに自治体レベルでも、データに基づいて科学的に政策を決めようという動きも出はじめているよね。

吉高 そうね。海外でも欧米を中心に、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング/証拠に基づく政策立案)が盛んに言われているけど、データ活用は本当に大事。ESG投資のEは、非財務情報だからいまは定性的になる。ただ、私はEの活動はCO2として定量化できると思っているの。すべての人間の活動は、カーボンである程度測ることができる。だからといって、ただデータ解析の結果をポンと出すだけではダメ。このビジネスでどれだけ下げられるかということを、血の通った言葉とともに還元して伝えないとね。

最首 吉高の言うとおり、客観的データを根拠にどんな物語を語るのか。データドリブンな環境になればなるほど、返ってその重要性が高まるというのは確かだろうね。

吉高 毎週のように日本企業の経営者層と面談をするのだけれど、「やることはやってる。でもあえて言わない」みたいな人も多くて、それじゃダメだろうって、もったいないといつも思っている。ESGに対する意識の面でも、情報開示という意味でも、社会をより良い方向に変えていくという意味でもね。日本人もどんどん言葉にして伝えていくべきだと思うな。

熱意と行動力が偶然を引き寄せ、必然に変える

最首 いま、僕たちグルーヴノーツって、AIと量子コンピュータを活用して組合せ最適化を解く仕事をたくさんしているんだよ。

グルーヴノーツの最首、AIや量子コンピュータで都市活動を最適化する
株式会社グルーヴノーツ 代表取締役社長 最首英裕 (グルーヴノーツ福岡オフィスにて)

吉高 どんな仕事が多いの?自治体の仕事も?

最首 福岡市や神戸市とのプロジェクトもあるけれど、多くは企業向けが中心だね。テーマで言うと、製造現場や物流計画の最適化。最近だと交通機関で、コロナ禍で利用者減少の中、社会基盤としての役割を維持しつつどうやって効率化すべきか、というような難しいテーマが多いね。

吉高 難題を解くなら尚のこと、状態を見える化していかないとね。現象がデータによって可視化され、定量化されれば、政策判断が的確になったり、正しいことをしようとしている人にお金が流れるようになったらそれに越したことはないからね。これはテクノロジー抜きにはできないこと。だからすごく期待しています。政府も言ってる。新型コロナからの日本の復活は、グリーンとDXだって。

最首 ありがとう。日本はこれから労働人口が減っていくけれど、国内市場だけで経済が賄えなくなれば、もっともっと効率化していかないといけないし、グローバルな視野を持たないといけなくなる。でも、この社会課題をうまく切り抜けたら多様な選択肢を持てるようになると、いまの状況をポジティブに捉えているんだよ。

吉高 危機が直前に迫ってからでは遅いから、なるべく早く予測して動けるようにしないとね。潜在的な課題を先回りして見つけて、ひとつずつ解決していく社会を築くことができればこんなに強いことはないわけだから。日本には優秀な人も多いから、もっと世界で活躍できると思う。日本は課題先進国と言われるけれど、もうタイやインドネシアでも少子高齢化の兆しが見えはじめているからね。制約の多い日本で培ったノウハウやソリューションが世界で役立つことが、これから増えていくと思うよ。

最首 同感だね。そういう意味では、いまの日本人に必要なのは吉高みたいな行動力なのかもね。

吉高 行動力は大事だよね。私自身、事務職だった当時、30年経ってこんな風になるなんて想像してなかったから。私の話ばかりしちゃったけれど、最首くんはどうなの?仕事をする上で大事にしていることって何?

最首 社会のためにテクノロジーで貢献するということ。テクノロジーの進化がディストピアを生み出すという人もいるけど、人間がベストを尽くしてやっているものだからそんなはずないと思っている。「あいつらのおかげで少し世の中が良くなったよね」って、言ってもらえたらそれでいい。

吉高 いいじゃない。何か社会的なインパクトを与えられるような、ワクワクできる取り組みをしたいよね。若い人もサポートしながら。

最首 そうだね。1人でやれることは1人分しかないからね。

吉高 私もそう思う。コレクティブインパクト。まだまだ頑張っていきましょう。

最首 今日は吉高“先生”のお話が伺えて光栄でした。ありがとうございます!

吉高 何を言うかと思えば。やめてよホントに(笑)

構成:武田敏則(グレタケ)